主な特徴
製品は、偏光状態を動画観察及び定量解析することが出来るカメラシステムです。
フォトニック結晶が内蔵された小型カメラをPCに接続するだけで、偏光画像の取得・解析が行えます。 従来技術では、偏光フィルタを回しながら像の明暗を比較・演算することで初めて得られていた偏光情報が、 撮影するだけの簡単操作で取得することができるようになりました。
偏光とは何か?
偏光とは、様々な光学製品、ディスプレイなどに広く利用されている光の性質の一つですが、 肉眼で識別できない為に馴染みの薄い性質でもあります。そこで、以下に簡単に偏光についての紹介をします。 人の感覚の大半を占める情報は、光によってもたらされます。
光の波には、振幅・波長・振動方向の3つの情報が含まれます(上図)。
振幅は明るさ、波長は色です。これらはとても身近な情報です。
残る一つの情報、振動方向こそが偏光なのです。 偏光には、光源の方向や反射面の向きなど、向きに関する様々な情報が集約されています。ハチなどの一部の昆虫は偏光を識別することができ、太陽と花と巣の位置関係を知るのに利用していると言われています。
偏光イメージングカメラPI-110は、最新のフォトニック結晶技術により偏光を画像として見ることのできるカメラです。
PI-110を使って、これまで見ることのできなかったもう一つの光の情報を活用することができます。
動作原理
通常のカメラとの違い
- 通常のカメラとの最大の違いは、CCDの前面にフォトニック結晶素子が配置されている点にあります。
独自技術により実現したこの特殊な素子には、画素と同サイズの偏光子が約100万個も敷き詰められています(右上図)。この素子により、コンパクトな偏光計測カメラが実現しました。
- PI-110では、近接する4画素の輝度を演算することにより、
a. 偏光の主軸方位(右図θ)
b. 平均輝度(同A)
c. 偏光成分の強さ(B)
を瞬時に得ることができます。
従来技術では偏光子の高集積化は極めて困難でしたので、 上記の偏光情報を得るには、カメラの前の偏光子を回転させる必要がありました。
その間被写体は静止している必要があり、動画撮影は不可能でした。 - 自己クローニング法ならば、 一度の成膜プロセスで容易に高集積偏光子アレイを作製出来ます(右下図)。
これにより偏光情報の取得方法が、従来の時分割から空間分割にパラダイムシフトしました。
PI-110は偏光分布の動画撮影・高速解析に威力を発揮します。
主な仕様
PI-100 | |
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カメラ部 | |
撮像素子 | 1/2”インタライン型モノクロCCD(8bit) |
有効画素数 | 1120×868pixels |
フレームレート | 最大 20 frame/sec |
インターフェース | GigE |
電源 | DV+12V ACアダプタより |
レンズマウント | Cマウント(レンズは付属しません) |
動作波長域 | 520±20nm※ |
※動作波長帯域、ソフトウェア改良等の御希望がございましたら、御相談下さい。 | |
ソフト部 | |
機能 | 偏光主軸方位のカラー表示、 偏光強度の輝度表示、 通常の輝度画像表示 等 |
製品内容 | 偏光イメージングカメラ本体(レンズなし) 操作用ノートパソコン ソフトウェア(インストールCD) 取扱説明書 |
応用例
レーザー光の偏光計測
- 偏光イメージングカメラでレーザー光を観察するだけで、レーザー光の偏光分布のリアルタイム計測ができます
- ハイパワーなレーザーを計測する場合には、減衰(ND)フィルターと組み合わせて御利用いただけます
セキュリティー
- 偏光イメージングカメラでは、偏光成分の強い映り込み光をカットすることができます
また、映り込んだ像を積極的に取り出すことも可能です
ギャラリー
偏光カラー表示
輝度情報では同じに見えても表面の向きによって偏光状態は異なることがわかります。
上記の色付けは、
偏光方位とカラーの対応図(右図参照)
のような偏光の主軸方位にカラーチャートを対応させて行ったものです。
ジャガイモデンプンの偏光
顕微鏡のCマウントアダプタに取り付けて、ジャガイモデンプンの偏光観察を行いました
偏光方位の微分
デンプン粒の偏光方位の微分画像です。内部に繊維構造のようなものが見えます
偏光成分を除去
通常画像と同じデータから、偏光成分を除去するとメガネや頬の映り込みが低減しました
矢印表示
各点の偏光方位の矢印表示は、立体形状を反映していることがわかります
偏光主軸方位をカラー表示
時計の液晶セルの動作をシャッター速度約30μsで撮影しました。
透過光の偏光主軸方位をカラー表示と矢印で表示した画像です。
上の写真から 約0.2秒後の写真が下の写真です
更に0.2秒後です
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