純水・低粘性溶液中の「マクロ粒子」を大流量全量測定
ISO21501-3
従来の監視(導電率・TOC)では評価できない
液体の「マクロ粒子汚染リスク」を抽出・モニタリング
背景
世界的に見て、日本は豊かな「水」資源に恵まれています。キレイで美味しい「水」がいつでも手に入る。それは私たちの生活の質の向上に大きく寄与してきました。
では、はたして飲料や原料、洗浄などに使用される「水」は、どれくらいキレイなのでしょうか。そしてその「水」は、これからの未来の健康や物の品質に安心を与えることが出来るのでしょうか。
製品について
PC シリーズは、純水・低粘性溶液中に存在する目には見えない「マクロ粒子」を任意に設定した粒径範囲毎に自動計数する測定機器です。
洗浄、原料、ボイラー用水、製品処理、冷却など様々なプロセスで用いられている液体の粒子濃度を数値で評価することによって、今まで「キレイ」だと考えられてきた液体の汚染リスクを監視し、リスク対策につなげることができます。
技術特性
測定技術・関連規格
・ISO21501-3
・VDI2083-21
測定範囲
- 表示検出範囲:2 ~ 750µm
- 粒径分類範囲:2~125μm
測定原理
光遮へい式自動粒子計数法
PCシリーズに採用されている「光遮へい式自動粒子計数法」は、産業界をはじめ各分野で長年にわたりサポートされている信頼性の高い測定原理です。ISO21501-3「 光遮へい式液中粒子計数器 ̶ 校正方法及び検証方法」でも定義されている液体の粒子測定法に準拠して設計されており、純水や洗浄液など多彩なアプリケーションに対応します。測定部を通過するサンプルはレーザー光に照射され、その先にあるフォトダイオードに影を落とすことでコンタミの大きさとして処理します。また各粒径レンジごとに粒子数を計数し、液晶スクリーン上に表示します。
大流量(75ml/min) 全容量測定により「マクロ粒子」を確実にモニタリング
一般的な液体パーティクルカウンタは、低流量(~20ml/min程度)・低サンプリング量で液中の微小粒子を計測します。しかし、低粘度液中に存在する10µm以上の「マクロ粒子」は、自身の重みによって重力沈降し、液路・液槽の底面で沈降・停滞してしまうため、低流量ではなかなか動かず、測定することが困難です。さらに、「マクロ粒子」は容器内の底面に偏って存在するため、従来の導電率やTOC濃度による清浄度監視技術では捕捉できません。PC シリーズは75ml/minの大流量で、低粘度液中に沈降・停滞している「マクロ粒子」を微小粒子と共に吸い起こし、今まで定量化できていなかった「マクロ粒子」による品質リスクをモニタリングすることが可能となりました。
■流量による粒子挙動の違い
広範な液種に対応可能
PC シリーズは検出部にPEEK を使用し、耐液性についても最高水準を達成しています。水に限らず、水溶性洗浄液、アルコール類、その他特殊溶剤にも使用できます。
接液部材質:PEEK・サファイア(フローセル部)・PTFE・PVDF・FFKM
※水以外の溶剤を使用される場合はあらかじめご相談ください。
測定方法
ラボ内サンプリングや現場での
スポット測定でリスク領域を特定する
PC5000は、本体にポンプを内蔵しており、貯水タンク・洗浄槽等からの自吸によるスポット測定や、ボトル採取したサンプルのラボ内測定の機能を併せ持ちます。これにより、回路内の複数箇所の粒子数傾向を読み取り、異物増大を引き起こしているポイントを特定して改善へとつなげていくことが可能となります。また、PC5000 本体は小型軽量にデザインされており、持ち運びの手軽さも兼ね備えているので、現場での測定を容易に行っていただけます。
オンライン常時モニタリングで
リスクをいつも監視する
PC シリーズは、従来のラボ型パーティクルカウンタと異なり、様々な産業分野において送液システムにオンライン接続し、水系液体に含まれる2 ~ 750µm の粒子をリアルタイムで監視することができます。異物の傾向を時間軸に沿って数値化することにより、リスクイベントの特定から製品へのリスクの最小化を企図したプロセス改善に役立てることができます。
アプリケーション
人々の身体、そして製品への影響をプロアクティブに防ぐ
液体の「汚染リスクアセスメント」
私たちの身体を異物から守る インテクノスのヒューマンヘルスソリューション
医薬品、食料品、飲料、化粧品など私たちの生活により身近にあり、体内に接し取り込む機会の多い生産物において、昨今異物混入のリスクが多く叫ばれるようになりました。
その異物による汚染の大きな要因の一つが「水」であるのに、その「汚染」の本質を理解されていることは多くありません。1µmにも満たない微小なナノ粒子をゼロにすることを夢見て巨額の投資を重ねる一方で、10µm以上の「マクロ粒子」は軽視されてきました。
PCシリーズは、医薬品、食料品、飲料、化粧品などの原料や洗浄工程に使用される水および低粘性液中に含まれる、製品、そして人体により影響を及ぼしかねない「マクロ粒子」の存在を明らかにします。「人の健康」を守るため、水・低粘性液体の汚染を「正しく・賢く」監視する能力を組織にもたらすことができるのです。
水は「キレイ」という錯覚からの脱却 液中異物監視の新スタンダード
従来の導電率やTOCによる「水質」監視は、センサの電極間に流れてくる水のイオン濃度や有機物濃度をモニタリングします。しかし、電極間に流れてこない、水中に偏って存在する異物は捉えることができません。「水質」を見るだけでは、水の本当の「汚染」は分からないのです。測定環境の底部に沈降している「マクロ粒子」は、従来の測定では「キレイ」とされている中でも存在し続けています。
PC シリーズは、水中「マクロ粒子」の監視を、最先端の光遮へい式粒子センサと高精度ポンプによる大流量測定の実現により可能にしました。製品にダイレクトに影響を及ぼす「マクロ粒子」による「汚染」、その実態を知り過去の錯覚から脱却する、これからの液体清浄度監視の新スタンダードとなる機材です。
イベントの効果・影響を数値化し、適切な運用をプログラミングする
高品質のフィルトレーションシステムを導入していればキレイな水は担保されている、とは限りません。フィルトレーションシステムは経時的に劣化し、想定されていた清浄度がいつの間にか達成されなくなる、また精製水の貯槽時も、大気中からの異物侵入などによりいつの間にか汚染されている、これらは多く見られる落とし穴です。PC シリーズは、このような実際に水や低粘性溶液を使用するまでの各イベントにおいての汚染リスクを評価検証する「汚染リスクアセスメント」に最適な機材です。各機能が本当に効果しているか、またはなんらかの挙動が清浄度に影響を及ぼしていないかを数値化、モニタリングすることで、適切な運用をプログラミングすることができます。
■純水洗浄回路におけるリスクの特定の例
例1.ポイントAとポイントBの差分を評価することで「フィルトレーションの妥当性を評価する」
→数値が悪化したらフィルタ交換をする。
例2.ポイントBとポイントCの差分を評価することで「貯槽における汚染の進行を評価する」
→数値が悪化したら清掃を行う。
例3.ポイントDの継続監視で「ワーク使用時点の目標清浄度達成確認」
→目標未達となった時点で回路全体を見直す、ワークフローの変更。
PC シリーズはこの他にも、飲食物原料水、飲料水、ボイラー用水、冷却水等、様々なプロセスに使用される水・水系溶液の品質管理、そして品質維持のための運用プログラミングにご活用いただけます。